映画のようなドラマ「密会」

韓国☆エンタメ

今日は久しぶりのドラマ視聴感想です。ドラマは結構見ているのですが、感想を書きたいほどのドラマがあまりなくって。でも、このドラマは見始めて2-3話ぐらいで感想を書くことに決めていました。2014年のドラマ「密会」です。

ドラマ「密会」ポスター

このドラマ、去年別の意味で話題になりましたよね。パク・クネ前大統領関連の事件とよく似た話がストーリーに含まれているってことで。

実際ドラマを見て驚きました。チャン・スンシルの娘で親の力で梨花女子大学に裏口入学したうんぬんで一時新聞でも名前をよく見たチョン・ユラと同じ名前の人物がドラマに出てくるんです。それも事実とよく似た設定で。でもこの事件が明るみに出たのは2016年で、でもドラマは2014年に放映されているから、「ドラマが予言した?」とかってことで話題になったんでしたよね。

思わぬところで再脚光を浴びたこのドラマですが、チョン・ユラは登場人物の1人にすぎず、本来の主題は20歳のピアニストの卵の男性と40歳の指導教授の既婚女性とのラブストーリーです。親子ほどの年の差に不倫とドロドロ要素十分ですが、ユ・アイン君演じる主人公の男性が人に対してもピアノに対してもピュアで一途なせいか、純愛ストーリーの印象が強いです。

でもこのドラマ、ストーリーよりも私が注目したのは映像、演出の方でした。とにかく、せりふのないシーンが異常に多いんです。しかもせりふがないだけでなく、例えばピアノをメインにした音楽が流れる中で歯を磨いているだけのシーン、朝身支度をしているだけのシーンみたいな普通すぎるシーンが延々と続くんです、時には分単位の長さで。この演出を見ていて私が感じたのは「映画みたい」でした。ひたすら日常生活だけを描いている映画って時々あるじゃないですか。ああいう感じ。

このドラマでは登場人物達の会話や行動から入ってくる話の展開を理解するだけでなく、1人でただワインを飲んでいたり、鏡に映る自分を見ているだけのシーンで、その人がその瞬間何を考えどういう気持ちでいるのかを想像する必要があり、まるで「映像を読め」と言われているようでした。本を読む時「行間を読め」と言われるのと同様に。で、実際、そういう”どうでもいい”シーンから、主人公達の感情がものすごく伝わってきました。

私は結構鈍感で理解力が弱く、「あのシーンはこういう意味だったんだよね?」とか友達に言われるまで全然わかっていないことが多いのですが、このドラマではせりふのないシーンからも、ユ・アイン君が演奏しているピアノの調べからも、ドラマのバックに流れる音楽の旋律からも、登場人物達の感情や心の動きがとても伝わってきました。でもこれって演じている俳優さん達の演技がそれだけ素晴らしかったってことですよね?

ユ・アイン君が何かのインタビューでこのドラマのことを「自分の人生において最も記憶に残る作品になるだろう」って言っていたそうです。その気持ち、わかるような気がしました。せりふも言わず体も動かさず、ただ表情だけでその人物の心情を見ている人に伝えることってとても難しいことだと思う。でも俳優さんにとってはとてもやりがいのあることで、それがうまくいけば役者冥利に尽きるんだろうなって。

もう1つ印象に残ったシーンは2人が結ばれるシーン。韓国はドラマでは絶対SEXシーンはやらないですよね。女性は胸さえ映さないし、ベッドに2人がいても動きがないとか、手をつないでいるだけとか足首が動くのを映すだけでそういうシーンだと見せる、みたいな。

このドラマではその上をいっちゃってます。画面にはベッドもなければ男女の姿も映らない。ラブホテルの部屋でもなく、映っているのはぼろアパートの薄汚い一室の壁とか床とか本棚とかだけ。喘ぎ声もなく、ただ2人が会話している声が聞こえてくるだけ。でも、その会話から2人がベッドインしていることがはっきりわかるようになっているんです。すごく粋な演出だと思いました。男女がからんでいる映像を見るよりもよっぽど想像力をかきたてられる、とても刺激的なシーンでした。このシーンだけでも見る価値ありだと思います。

というわけで、この「密会」というドラマはながらで見れるドラマではありません。16話毎回、映像が訴えてくるストーリーを理解しながら集中して見てほしいし、そうでないと多分つまらなくて途中で脱落してしまうと思います。音楽界の汚職もドラマのテーマの1つになっていて、汚職の仕組みは複雑すぎて完全には理解できていないのですが、お金と権力と愛がからんだ人間関係を追っていくだけで十分楽しめます。

わがまま採点は3.9点。

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