アツいドラマで暑い夏を吹き飛ばそう! 「梨泰院クラス」

韓国☆エンタメ

「愛の不時着」とともに昨年話題になった韓国ドラマ「梨泰院クラス」。「愛の不時着」が社会現象になった後期待を思いっきり膨らませて見てしまったせいか、残念ながら「愛の不時着」にはイマイチハマれなかったので、同じ失敗は避けたいと思い、「梨泰院クラス」はパク・ソジュン君が主演ということ以外、内容も世の中の批評もチェックしないまま見たのですが、第1話からぐいぐい引き込まれていきました。

ドラマ「梨泰院クラス」のポスター

韓国ドラマって割とスロースタートのドラマが多くないですか? 設定に無理があるストーリーが多いせいか、短めのドラマで最初の2話ぐらい、長いドラマだと第7-8話ぐらいまで導入にもたついたり、だらだらと背景の説明に費やしたり、みたいな。

「梨泰院クラス」ではそれがない、どころか、第1話と第2話だけで充分1本のドラマになるぐらいのストーリーになっているんです。しかも、驚いたことにこのドラマの実質のスタートは第3話からで、第1話と第2話はプロローグみたいなもの。最初からこんなにぶっ飛ばすドラマを見るのは初めてでした。

既にドラマをご覧になった方は多いと思いますが、念のためネタバレしないように簡単にストーリーを説明すると、

”高校3年生の少年セロイが転校初日にクラスで陰湿ないじめが行われているのを目撃し、それを止めようと、いじめた側の生徒をたった1発殴っただけで、そしてそのいじめた側の生徒がセロイの父親が勤める大企業の会長の息子だったということだけで、セロイの人生はめちゃくちゃにぶち壊されてしまう。その後、セロイは自分と同様に社会的弱者である仲間達と一緒に10年以上かけて会長とその息子に復讐をする”

という話です。

こう書くと、結構ありがちなストーリーだと思われるかもしれませんが、セロイの人生の「ぶち壊され方」がハンパなくエグイんです。その強烈度は私が今まで見たドラマの中では最強かな。でもそれにもまして強烈なのは、最初の暴力事件が起きた後に交わされた加害者の父で権力者である会長とセロイ父子の会話です。

権力の前では誰もがひれ伏すのが当然だと考える会長と、「信念を持って生きろ」という家訓を貫こうとするセロイ、そしてセロイの父が発する言葉はどれもあまりにも重くて、一言ごとにビンタを食らっているような、胸に突き刺さってくるような、それぐらいの強烈さでした。

それが、ドラマが始まってからほんの30分ちょっとでの場面ですよ。第1話を見終えるまでもなく、「このドラマ、すごい!」って思いました。そして強烈なのはつかみだけではありません。登場人物のキャラも相当に強烈なんです。

まず、パク・ソジュン君演じる主人公のパク・セロイですが、「信念を持って生きろ」という父親の教えに反することは絶対にしない頑固一徹な人物。できないものはできないとはっきり言うし、あるべきものは何が何でもあるべき姿にしようとする、究極の理想主義者です。

ドラマ「梨泰院クラス」の1シーン

普通の人はそれが理想なのはわかっていても、理想と現実は違うからと世の中をうまく生きていくために多少融通を利かせたりするものですが、セロイはたとえ「融通を利かせろ」と圧力をかけられたとしても全く動じないし、絶対に屈しません。そして、自分が信じて仲間に入れた相手には「お前が何をしようが俺は揺るがない」と、何があっても信じ切る強さを持っているんです。

こんな達観した20代の若者って現実にはなかなかいない、ですよね。ドラマの中のキャラクターなのはわかりつつも、そんな人が実際にいたらホントにかっこいいし、一度でいいから会ってみたいと思ってしまいました🤩

そしてもう1人、セロイよりもっと強烈なキャラなのがセロイの仲間の1人、チョ・イソという女の子。平気で嘘をつき、相手がどんなに年上だろうと攻(口)撃し、自分が優位に立つためには相手を傷つけても全く気にしない、ソシオパスの18歳。

ドラマ「梨泰院クラス」の1シーン

そんなキャラなので、最初登場した時は可愛げがないし生意気な上に妙に口が立つし、自分の周りには絶対にいてほしくないタイプだという印象でした。ただ、この子、一度目標を決めたらひるむことなくがむしゃらに向かっていくんです。

そのひたむきさと、「夢をかなえてさしあげます!」と相手の目をまっすぐに見て言いきれる度胸がかっこよく、そんなイソの姿がだんだん魅力的に見えてきて、最後にはぎゅーって抱きしめてあげたいぐらい大好きになりました。ドラマの男性キャラにハマったことは数知れないほどあるけれど、女性キャラにこんなにハマったのは初めてでした。

他にも、元ヤクザで前科者のスングォン、トランスジェンダーのヒョニ、愛人の子供で家族の愛情を受けずに育ったグンス、父親は韓国人だけど見た目は100%アフリカ系のトニーなど、セロイの仲間はユニークな人生を歩んできた人達ばかり。

ドラマ「梨泰院クラス」タンバムのメンバー

セロイの初恋の相手のスアも親に捨てられ孤児院で育った子だし、セロイと関わる刑事も父子家庭だし、よく考えてみたら、このドラマの主な登場人物でいわゆる一般家庭で育った人は1人もいなかったかも。

なので、セロイを中心にストーリーは展開していくけれど、複雑な背景を持った人達が世間で生きていく上で抱える苦労や問題点などにもスポットを当てたりして、20代の若者がメインでファッションや音楽、映像がイマドキっぽく作られているわりにはかなり硬派なドラマです。

そして、今時っぽい作りとは対照的にドラマから発せられるメッセージが結構「昭和的」だったりするのが面白くって。「信念」という言葉は合計100回ぐらい聞いたような気がするし、「子供は親の背中を見て育つ」なんて言葉も久しぶりに聞いた気がします。あと、ドラマ「半沢直樹」的展開もあったりして完全懲悪、気分爽快。半沢好きなら共感しやすいドラマだと思います。

「心はギブアンドテイクではない」

このドラマで印象に残った言葉です。考えてみたら当たり前ですよね。こっちが好きだって言ったからと言って相手も好きになってくれるわけじゃないってこと。でも、相手のことをこれだけ想っているんだから相手にもその気持ちが通じていてほしいって心のどこかで期待している部分があって。だからフラれると傷つくわけで。

でも、最初から「心はギブアンドテイクじゃない」ってちゃんと理解できていたら、フラれたとしても「そうだよね。ギブアンドテイクじゃないもんね」で済むわけでしょう? この言葉、30年前に聞いていたかったな。そうしたら私の人生、多分変わってたなってマジで思っちゃいました🤭

このドラマ、実は既に2回見ています。それも見終わった次の日に、また第1話から見始めて。2回、3回見たドラマはいくつかあるけれど、さすがに連続して見たのは初めてでした。でも、まだ何度でも見られそうです。ということで、わがまま採点は当然、満点の5.0点です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました