東横イン釜山西面(ソミョン)から繁華街とは反対方向に歩くこと10分。
地元の食堂感たっぷりのお店「全州食堂(チョンジュシッタン)」。

入口は小さいんだけど中に入ってみると奥はかなり広くなっていてビックリ。

工場かと思うほどいかにも業務用って感じの大きな厨房がどのテーブルからでも見えるようになっていて。
でも、今どきのオープンキッチンみたいなおしゃれ感はゼロ。
プロの料理人用の厨房です。
お店は女性が1人で切り盛りしているよう?で、注文は取りに来る暇がないから厨房から「何にしますか?」と大声で聞かれ、私も大声で「キムチチゲ、チュセヨ」と返しました。
そんなわけで、お水はセルフで冷蔵庫まで取りに行くことに。
初めてのお店なのに、なんだか行きつけのお店みたいで楽しい。
ちなみにメニューはキムチチゲ、テンジャンチゲ、トンテタン(スケトウダラのスープ)とスンドゥブの4品のみです。
お店の人はこっちに来ないもんだと油断してスマホをいじっていたら、突然テーブルの上にお盆を置く音がして。
顔を上げると、目の前がこんな状態に・・・。

目がテンとはまさにこのこと。
とんでもない数のパンチャン。間違いなく過去最高の数。
しかも、この中にはまだ主役のキムチチゲがない!
ぼーぜんとしている間にキムチチゲも運ばれてきました。
お腹がすいていなかったわけではないけれど、さすがにこの量を見るとヤバいなと。
ここで完全にモードを切り替え、戦闘態勢に。
パンチャンを2皿ずつ写真を撮りながら食べていくことにしました。
最初に手に取ったのはチャプチェと小さなお豆腐。

好きなものから確実に落としていきます。
チャプチェを少し口に入れてみたら・・・・・激うま。
今まで食べたチャプチェの中で、間違いなく一番美味しい!
あまりに美味しかったのでいっぺんに食べるのがもったいなくなり、何回かに分けて食べながら、このチャプチェの何が他のと違うのか考えていました。
具として入っていたのは、チャプチェの麺以外はさつま揚げの薄切りと人参、ネギぐらい。
特別なものは何も入っていませんでした。だから余計に不思議で。
で、結論はゴマ油だったかな、と。
ものすごく香りがよく、まろやかなお味だったんです。
もちろん油ギトギト感はゼロ。
お豆腐は韓国らしいかなり硬めの素朴なお味でした。
続いて卵焼きと玉ねぎ。

この玉ねぎ、ナムルじゃないけどあっさり味の和え物で食べやすかったです。
続いてワカメと青菜。

ワカメと玉ねぎの千切りは酢の物かと思ったら違いました。
酸味はなく、ワカメ本来の塩味だけの味付けだった気がします。
ワカメを塩味で食べることってまずないのでちょっと珍しかったです。
青菜はおひたしかと思ったらほとんど味がついていませんでした。
これまた珍しいと思ったけど、すぐに「これ、お口直し用だ」と気づきました。
というのも、後から出てきますが、キムチ系の小皿がかなりあって、見ているだけでも口の中が辛くなってきたぐらいだったから。

こちらの左側の食べ物も想像がつかなくて食べてみたら、トッカルビもどき、だったような。
韓国でひき肉の料理ってあまり見かけないので、ひき肉っていうだけで嬉しかったです。

続いてブロッコリーと、またわけのわからない食べ物。
ブロッコリーにかかっているのは一瞬ケチャップかと思ったけど、ここは韓国。そんなわけないですよね。
酢コチュジャンでした。
ブロッコリーと酢コチュジャンの組み合わせは初めてで、なかなか面白い味でした。
左のは食べたらわかりました。カニかまとハムの、なんと酢味噌和え。
ユニークですよね。これが結構乙でした。
ここからキムチ系にいきます。

カクテキはいいとしてその隣は?
これ、大根と干し鱈の戻したものを唐辛子粉で和えたもの。
ピリ辛を覚悟して口に入れたら全然辛くない。まろやかなお味で超美味しい。

続いての2品はさつま揚げの唐辛子粉和えと、イカと大根と生ニンニクのキムチ。
生ニンニクが入っているキムチはかなりガツンとしたお味。ダメな人はダメかも。
私はニンニクのキムチが異常に好きなので、久しぶりに食べられてゴキゲン。

こちらは白菜キムチとごぼうのキムチ。
ごぼうはキムチといっても塩辛さは全くなく、お酢が効いていて酢の物感覚。
あっという間に食べ終えちゃいました。

キムチ系の最後はオイ(きゅうり)キムチとニラのキムチ。
オイキムチも塩味、ピリ辛度ともかなり控えめ。ニラは苦い系でした。

最後はモヤシのナムルと、時々見かけるソーセージに卵の衣がかかっているもの。
これはどちらも見た目どおり。
パンチャンの説明だけでこんなに長くなってしまいました。
だって20皿もあるんですから。
そして、肝心のキムチチゲ。

このキムチチゲがまた感動的な美味しさ。
中身は古漬けの酸っぱ系の白菜キムチがたっぷり。
お豆腐、ネギ、青唐辛子、そして分厚い豚肉が結構な量入っていました。
キムチチゲって酸っぱいのとピリ辛が同時にくるものだという認識だったんだけど、このお店のはピリ辛がない。
でも、酸っぱさだけじゃなくて何かわからないけど妙な旨味があって、最後はスープだけをほとんど飲み干しちゃったんです、スプーンを止められなくて。
結局完食とまではいかなかったけど、空のお皿を10皿以上積み上げたし、残りのお皿も半分以上は食べました。
キムチチゲのスープなんて飲めるわけないって思っていたのに、空っぽになったし。
でも、これで終わりじゃなかったんです。
ご飯を食べ終えた頃合いを見て、厨房の女性が「そこにシッケがあるから飲んでいってね」って。

シッケ、ほとんど無色なのでこの紙コップを見ても何だかわからないでしょうけど、半分凍らせたシッケなんです。
行ったのは真夏だったもんで、このシッケ、最高でした。
このお店、店構えや内装とお料理のギャップがハンパないです。
特別なお料理じゃなくて、これぞオモニの家庭料理って感じ。
今のところ、私的には釜山ナンバーワンです。
西面の東横に泊まる方はぜひ、わざわざ行ってみていただきたいです。
ホテルからはちょっと歩いたけど、帰りは感動的な美味しさのご飯にぼーっとなって、気が付いたらホテルに着いていたぐらいで距離は感じませんでした。
それと、最初にお店は繁華街とは反対方向だと書きましたが、道中は意外や意外、お洋服やアクセサリー、雑貨などの小さなセレクトショップが何軒もあって学生さん達で結構にぎわっていました。
観光客は行かないけど、ジモティ達には人気のエリアなのかもしれません。


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