最近2010年以前のドラマを見つけたらできるだけ見るようにしています。「宮廷女官チャングムの誓い」や「ごめん、愛してる」のような超有名な作品を除けば2000年代1桁に制作されたドラマってだんだん見られなくなってきているので、今のうちに見られるものは見ておかなきゃと思って。
これまでレビューを書いた「製パン王キム・タック」や「鉄の王キム・スロ」他何作か見て、この時代のドラマってドラマの内容とは別の意味で見る価値が大ありなことに気付きました。それは、現在主役を張っている俳優さんが1つのドラマに何人も脇役や、時には子役として出ていて、今では考えられない豪華キャストになっていたりするからなんです。
今ではオーラバリバリの俳優さんでも10年前はまだひよっこだったのね、なーんて素人目でも初々しく見える人もいれば、脇役にもかかわらず主役を食うぐらいの存在感が伝わってくる俳優さんがいたりと、普段と違った視点からも見られるので、1.5倍ぐらい楽しめちゃう。
その点で言うと、登場人物が出てくるたびに「おぉー、この人がこんなところに!」と興奮が止まらなかったドラマが「イルジメ~一枝梅」でした。
イ・ジュンギ君が主演なのは見る前から知っていたのですが、なんとパク・シフさんとハン・ヒョジュちゃんが出てきて、それも2人とも二番手の役なのにビックリ。でも、その前にある意味もっと驚きが・・・。これ、見てください。
ヨ・ジング君がイ・ジュンギ君の子供時代を
キム・ユジョンちゃんがハン・ヒョジュちゃんの子供時代を演じているんです。
私が最初にこのペアを見たのは「太陽を抱く月」でしたが、これはそれよりも4年も前のドラマ。キム・ユジョンちゃん、この時まだ9歳! ヨ・ジング君でも11歳。子役だから出番は少ないけれど、2人ともものすごく印象に残る演技をしています。この2人、ホントすごいです。
キム・ユジョンちゃんもヨ・ジング君も最近は主演ドラマを何本もやっているので、それも入れるとこのドラマ、今では映画でなければ揃わないぐらいの超豪華出演陣なんです。
で、肝心のドラマの内容ですが、幼い頃に父を殺され家族とも引き離されてしまったイ・ジュンギ君扮するヨンが、昼はゴロツキのような生活をしながらも夜は義賊「一枝梅」として不正に富を蓄えた権力者達から金品を盗み、貧しい庶民に分け与えつつ、父を殺した犯人を探し出すという話です。
このドラマではもともと李氏朝鮮時代からあった義賊「一枝梅」の伝説を第16代王仁祖の悪政と絡ませているのですが、ストーリーに重苦しさは全くなく軽快そのもの。主人公が架空の人物なのは最初からみんなわかっているので、
昼間は人懐っこくておちゃらけなヨンが
夜になると仮面をつけて全身黒づくめのイルジメに変身するのも、イルジメの神出鬼没な動きや盗みの手口が現実にはありえないマンガチックなものでも興ざめすることなく、楽しんで見ることができます。
また、両班ではなく庶民中心のストーリー展開なので、会話もエッチ系のセーフギリギリを攻めた隠語が飛び交うなどコメディ要素も結構あるし、親のいない子供を引き取って家族として育てていく人情話もちりばめられているし、私が今まで見た50本近い韓国時代劇ドラマの中で一番爽やかで気楽に見られた作品でした。
脇役陣も芸達者な人達が多いのですが、特に印象に残ったのがヨンのお父さん役のイ・ムンシクさん。ヨンのお父さんは貧しさから一時窃盗を家業としていたような人物なのですが、自分が一目惚れした女性を守るため、彼女が別の男性を想っているのをわかりつつも結婚し、その後はひたすら尽くし、その上引き取った他人の子2人を2人とも実の子のように大切に育てた、とってもいい人なんです。
ドラマの途中で前歯を失うことになるのですが、映像を見ていると本当に歯がないように見えて、それが気になって気になって・・・。これ、見てください。
最初は黒く塗りつぶして見えなくしているのかと思ったのですが、それだと横から撮るとバレるはずでしょう? でも顎の下からのショットでも歯がないようにしか見えなかったんです。今ならCG処理ができるだろうけれど、2008年当時歯1本のために映っている全シーンでいちいちCG処理をしたとは思えなくって。
それで、ドラマを見終わってから調べてみたら・・・
なんと、イ・ムンシクさん、前歯が抜けるというこのドラマの設定のために、本当に前歯を1本抜いちゃったそうなんです💥💥💥
ビックリ。そりゃあ、どの角度から撮っても歯が抜けているようにしか見えなかったはずです。この話を聞いて思い出したのが北村一輝さん。この方も映画でチンピラ役をするために歯を抜いちゃったんですよね。
2人とも主役だったわけじゃないのにそこまでするなんて・・・。これぞ役者魂✨
そんなこんなで全20話、あっという間に見終わりました。余韻が残る終わり方もいい感じだったし😙 私は特にイ・ジュンギ君のファンというわけではありませんが、このドラマのイ・ジュンギ君、おちゃらけな面とクールでかっこいい面両方を見せてくれているし、全体にとても活き活きとして見えてステキでした。
軽い感じのエンターテイメント時代劇をご覧になりたい方には「イルジメ~一枝梅」、とってもオススメです。わがまま採点は
点。
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