前回、密陽(ミリャン)の月淵亭(ウォリョンジョン)を紹介しました。
話が前後しますが、今日は月淵亭に行く途中で起きた出来事を中心に書いてみようと思います。
ドラマ「麗」のロケ地の位良池(ウィヤンジ)からバスで密陽観光の中心地、密陽伝統市場や嶺南楼のある辺りに戻って来ました。
降りたバス停は「伝統市場 전통시장(チョントンシジャン)」。
下記の地図で「バス停留所(密陽駅方面)」と書かれたバス停です。

月淵亭に行くまで時間があったので、伝統市場とアリラン市場をぶらぶら。
伝統市場は魚屋さん、八百屋さん、日用品のお店や食堂など、どこにでもある市場。
お昼前だったからか、市場は閑散としていました。
アリラン市場って何だろう?と思ってのぞいてみたら、チマやチョゴリなど韓服を売っているお店ばかりが集まっていました。
結婚式とかで着そうな高級そうな韓服がたくさん並べられていましたが、いかんせん日常的に用事がある場所じゃないのでお客さんは皆無。
きれいな韓服がいっぱいあって写真を撮りたかったけれど、通路を歩くだけでものすごく注目を浴びてしまってとても写真を撮れる雰囲気じゃありませんでした。
その後、時間つぶしに密陽官衛址に行ってみました。

こちらが正面入口。

ここは朝鮮時代にあったお役所を再現した場所。

当時の官吏の人形が一緒に展示されていました。

管理状態がいいなと思ったら、今の建物ができたのは2010年だったよう。観光スポットの1つとして作ったのかな?

ちなみにどこの建物も中に上がれるようになっています。
この辺り、日差しを遮る場所がないので、休憩所代わりに使っている人達がいました。
トイレもついているので行ってみたら、3-4個あるトイレはなんと全て和式。
でも、昔風の地面に穴が開いた和式ではなく、水洗でトイレットペーパーもちゃんと備え付けられていて、しかもペーパーを流せるタイプ。
ここまで整備してくれるのなら、せめて1つぐらい洋式にしてくれたらよかったのに。
と思いつつ、トイレ自体はとてもきれいだったので使わせていただきました。
そろそろ月淵亭に行くマウルバスの時間が近づいてきたので、バス停の場所を確認しに行きました。
マウルバスは官衛址の西側に3台分の駐車スペースがあり、そこが始発です。
私が乗るバスは既にそこに停まっていたけど乗ってみたら運転手さんがいなかったので、勝手に乗っちゃいけないと運転手さんが来るまで外で待機することに。
炎天下で日陰になる場所はほとんどなく、目に入った官衛址の小門の屋根の下に行きました。
そこには先客のおじさんとおばさんがいておしゃべりしていたのですが、私が日よけの仲間に入れてもらおうと近づいたら、おじさんに声をかけられました。
「バスに乗ってどこに行くの?」
「チャンソンマウルです」とバス停名を言うと、おじさん、「チャンソンマウルに何しに行くの?」
好奇心旺盛なおじさんだなぁと思いつつ「月淵亭です」と答えると、「あー、月淵亭ね」と納得した様子。
続けて「あそこはバス停からだいぶ歩かないといけないから、近くで降ろしてあげるよ」と一言。
私、一瞬「???」となったのですが、すぐにピンときました。
「バスの運転手さん?」と聞くと、おじさんにっこり。
横にいたおばさんも「よかったねー。送ってもらえるってよ」とニコニコ。
確かにバス停から15分弱歩かないといけないのは事前に調べてわかっていたので、思いがけない申し出に「コマッスムニダ」。
このバスはマウルバスみたいなものなのですが、運営はバスが走る地域が行っている?ようで、バスのボディには「ヨンウォル交通」と書かれていました。
バスに乗り込むと、他のお客さんは年配の方数人。よそ者は私だけでした。
密陽の市バスの車内では停留所名の電光掲示とアナウンスがありますが、このバスには何もなさそうでした。
だから乗る時に運転手さんにチャンソンマウルに着いたら教えてもらおうと思っていたので、降りる時の問題はクリア。
でも、帰りもそのバス停からバスに乗らないといけないのに、下手にバス停じゃないところで降ろされたら帰りのバス停の場所がわからない。
これはまずいと、出発準備をしていた運転手さんに「帰りもこのバスに乗ってここまで戻って来たいので、帰りのバス停がどこか教えてもらえますか?」と頼んだら、運転手さん、「そこを通る時に教えてあげるよ」と快く引き受けてくれました。
バスが出発すると、小型バスにもかかわらずちゃんと停留所の自動アナウンスが聞こえてきてホッ。
ところが、バス停のアナウンスとは全然違うタイミングでお客さんは1人、また1人と降りて行きました。
私、わけがわからなくてとまどっていたら、そのうちおばさんが「そこの角で降ろして」と運転手さんに言い、普通に降りて行きました。
これ、ほとんど自由昇降バスなんだなと、その時気づきました。
そして私が降りる予定だった「チャンソンマウル」バス停のところで、運転手さんが「帰りのバス停はここだよ」と道の反対側にあるバス停を指差してくれました。

ロードビューでは見つけられなかったのですが、帰りのバス停は屋根のあるちゃんとしたバス停でした。
バスはチャンソンマウルバス停を過ぎた後、橋を渡って対岸の村に走って行くので、私を月淵亭に一番近い場所で降ろすなら橋の手前のはず。
なのに、運転手さん、全くスピードを落とさずそのまま橋を渡ってしまいました。
月淵亭からはどんどん離れて行って、私、プチパニック。
あれ? 私、聞き間違えた?
それとも運転手さん、私を降ろし忘れた?
こんな田舎でこんなおじさん(運転手さんは60歳を優に超えていました)が、まさか誘拐なんてしないよね?
とか、いろいろ考えている間にバスはこんなとこ通れるのか?っていうぐらい狭い道に入って行きました。
えっ、こんな道通れないでしょ?と思った瞬間バスは停まり、おじいさんが1人降りて行きました。
すると、なんとバスがバックして方向転換し、また橋の方に戻って行くではないですか!
ってことは、運転手さん、あのおじいさんを降ろすために本来のルートを外れて、行けるギリギリまで行って降ろしてあげたんだ。
もう、目がテン。
そして、今度は最後の乗客になった私を月淵亭に送り届けようと道を戻って行ってる。
もちろん、このバスには決まったルートとバス停がこの先かなりの距離、あるんですよ。
なのに、運転手さん、バスをまるで自家用車かのように動かしてる。
あまりの展開にビックリしている間にバスは月淵亭の入口の真ん前に停まりました。
私は「親切にしてくださってありがとうございました」と深く頭を下げてバスを降りると、運転手さんは「帰りはさっき教えたバス停まで歩いて行くんだよ」と念押しして去って行きました。
月淵亭の見学が終わって車が通る道路まで来たら、道路の反対側に看板があるのを見つけました。

行きは看板とは反対車線にバスが停まったので、気づかなかったんです。
月淵亭の入口の横には車1台がギリギリ通れる龍平(ヨンピョン)トンネルがあり、どうやらそこがチョン・ウソンさん主演の映画「トンケの蒼い空」の撮影地だったらしいです。

このトンネル、結構有名みたいで、脇に車を停めて写真を撮っている人が数人いました。
私はこの映画の名前も知らなかったのですが、みなさん写真を撮っているので私も1枚写真を撮り、バス停に向かいました。
教えてもらったバス停で待っていたら、計算した時間より5分遅れでバスがやってきました。
乗り込むと、なんとさっきの運転手さん。
「ちゃんと行ってきたんだね」とにこやかに迎えてくれました。
さっきも言いましたが、運転手さんは私を降ろした後、本来のルートにまた戻って、約1時間半後に折り返して戻って来たんです。
それぐらい長いバスルートがあるのに、途中でわざわざルートを外れて道を戻ってまでして、私を月淵亭に送り届けてくれたんです。
もう信じられない親切さ。
田舎に行くと、本当に人が温かいです、韓国は。
こういう普通じゃないことをしてもらったの、求礼(クレ)に続いて2回目。
求礼では、マウルバスが遅れてなかなか来そうにないと気づいた村の人達が、全然違う場所に行くシャトルバスを出して、私を目的地まで送り届けてくれました。
あれ以来のありえない出来事。
親切にしてくれた運転手さん、行きはすぐに発車しないといけなかったからお礼しか言えなかったけれど、また会えたからには何かお礼をしなきゃ。
と、始発のバス停に戻って来た時に、何かお世話になることがあった時用にと念のため持ち歩いていたスナック菓子を「ほんの気持ちです」と言って渡すと、運転手さん、「アイゴー」。
ドラマでよく聞く言葉「アイゴー」。
生「アイゴー」、いただきました(笑)
月淵亭、なかなか行きにくいところでしたが、運転手さんのおかげで楽に行けたし、忘れられない場所がまた1つ増えました。

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