今まで何度かソウルでチョングッチャンを食べたことがあって、チョングッチャンは大好きな韓国料理の1つです。いつもおひとり様で食べていますが、今までは何の問題もなく、チョングッチャンはおひとり様OKの食べ物だという認識でした。
ところが今回の旅で、まず安東 (アンドン) でお昼にチョングッチャン屋さんに行ったら1人ではダメだと断られました。その時はそのお店がたまたまおひとり様お断り主義のチョングッチャン屋さんなのだと思っていました。
で、大邱(テグ) 滞在最後の夜、通りすがりにチョングッチャン屋さんを見つけ、安東で食べられなかったリベンジをしようと入ってみたのがここ、「八道 (パルド) チョングッチャン」。
1人でも特に何も言わずに入れてくれたので、やっぱり安東のお店は特別うるさいお店だったから入れなかったんだと思っていたら、おばちゃんがメニューを持たずにやって来て「チョングッチャンしか注文できるものはないですよ。そして1人だから10,000ウォンになりますけどいいですね?」と注文を「聞く」のではなく「宣告」して去って行きました。
私はきょとんとしてしまったのですが、チョングッチャンを食べるつもりで入ったんだしお値段も問題なかったので、その時はおばちゃんが「宣告」した意味をあまり考えようとしませんでした。
まずパンチャンが運ばれてきました。
チョングッチャン屋さんにしては多いなと思ったけど、もっとパンチャンが出てくるお店はあるので気にせず写真を撮って、先につまみ始めました。ちなみに上の左側のお皿、チャプチェだと思っていたら、もずく、しかも日本でよくあるもずく酢そのものでした。
そしてもやしのナムルだと思った左側のお皿は、これまた日本でよくあるもやしのおひたしでした。韓国でこんなに日本っぽいものが出てきたのは初めて。このお店、変わってるなと思いながら食べていたら・・・。
カートに乗せられて主役のチョングッチャンが運ばれてきました。ご飯も石釜ご飯になっているのが見えて、それを見つけた瞬間心の中で「やった!」。でもワクワクはここまででした。
チョングッチャンは普通グツグツの状態で1人用のお釜に入れてありますよね? それは確かにカートの上にあったんです。でも不思議に思ったのは、その1人用のお釜がパッと見ただけでカートの上に3つあったこと。
早い時間に行ったのでお店の中に客は私1人だけ。なのになぜ???
と思っていたら、次の瞬間、おばちゃんがお釜を2段に重ねて持ち上げて私のテーブルの上にドン!
そしてまた別のお釜を2段に重ねてドン!!
私、今自分の目で見たことが理解できずボー然としていたら、とどめにもう1つお釜がドン!!!
お釜が全部で5つ、テーブルの上に並んだんです。ご飯のお釜も入れたらなんと6つ!!!!!
私、思わず「これ、全部?」と声に出して言っちゃいました。だってお釜が6つ並ぶなんてありえないじゃないですか、私1人なのに。しかもそのうちの4つはほとんど同じ色してるし。
そしたらおばちゃんが一言。「これ、基本的には2人前だからね。1人で注文したから10,000ウォンで出したけど」と。
その言葉で気が付きました。ここも安東のチョングッチャン屋さんと同じだったんだ。でもここは融通を利かせて1人でも入れてくれたんだと。
私、2日前から体調がよくなくって、この日も疲れていてあまり量が食べられそうになかったからチョングッチャンなら軽~く食べられるなと思ってここに入ったんです。それがこのありさま。基本的に1人で注文できないお店だとわかっていたら来ていませんでした。
でも通りがかりにお店の名前にチョングッチャンと付いているのだけ見て飛び込んじゃったからには「食べられません」なんて今更言えないでしょう? それにいくら2人分だとはいえ半分しか食べずに残すなんて失礼なことはできないし。
ということで、ここで突如使命感が芽生え、ギアをトップに入れ食べ始めました。全部は無理でも行けるところまで行こうと。
まず1つ目のお釜、チョングッチャンは大豆をつぶさずに大きいままでどっさり入っていました。思ったとおり結構ピリ辛でした。
2つ目のお釜、スンドゥブチゲのお豆腐はチョングッチャンのお豆腐と種類が違ってとってもなめらか。お豆腐の食感はチョングッチャンのよりスンドゥブチゲの方が好きでした。そしてチョングッチャンが辛くて舌が麻痺してしまったからか、スンドゥブチゲが妙にマイルドなお味に感じて。
3つ目のお釜、豆腐をつぶしたものにお味噌が入ったペースト状のものも、お味噌の塩気がきつすぎず、ご飯のいいお供になりました。
ご飯は普段ならチョングッチャンの中に投入するのですが、同じくご飯を投入するスンドゥブチゲもあるし、他のお釜もご飯を投入するものっぽかったので、ご飯をどうやって食べようか迷ってしまって・・・。結局ご飯をスプーンに少なめに取り、それをそれぞれのお釜の中に浸して食べることにしました。
4つ目のお釜、お野菜のチゲも野菜の甘みのせいなのか、想像していたほどパンチが効いた味ではなく、他のお釜にもスープがあるからこれ以上は飲めないのでお野菜だけ引き上げて食べることにしました。そうするにはちょうどいい優しいお味でした。
そして、見た目からはいったい何が入っているのか見当もつかなかった5番目の茶色のお釜。食べてみたら牛肉の甘煮だと判明。これがまた絶品だったんです。チョングッチャン屋で何でお肉なんだ?と思いつつも、この甘めの煮付けが牛丼みたいで美味しすぎる! 正直、チョングッチャンよりもこのお肉の煮物の方に私はハマりました。
そしてこのお釜ご飯は当然ヌルンジにして・・・と、とにかく食べなきゃいけないものがありすぎて必死。
まずは主役のチョングッチャンの完食を目指し、口の中がピリピリしてきたら酢の物や生野菜で中和?して、でも並行してスンドゥブチゲも食べて・・・。
さすがにチョングッチャン屋さんだけあっていろいろな種類のお豆腐はどれも、でも特にスンドゥブが美味しかったです。時間をかけて一品一品片付けていきました。
これ、お豆腐のおかずだからこれだけ量があっても食べられたけど、お肉やお魚系のお釜5つだったら絶対無理だったと思います。
〆は牛肉の煮物。これは一口食べるごとに感動していて、ご飯と一緒に食べ出したら完食しそうな勢いだったけど、さすがに全部食べてしまったら後で絶対ヤバいことになると思い自粛。
結局40分ぐらいかけて、キムチと牛肉の煮物をほんの少し残しただけで後は全部食べきりました! 2人前、マジでほとんど食べたってこと。やったね。
食べている途中に柱にメニューが貼ってあったのを発見。確かに「全メニュー、2人以上注文可」と書いてありました。そして私が食べたチョングッチャンは2人で頼んだら1人8,000ウォンだったことも判明。
最初におばちゃんが「1人なので10,000ウォンになります」と言ったわけがここでようやくわかりました。でもこれだけ食べて10,000ウォンなんて激安ですよね?(2019年10月時点での料金)
ものすごく重くなったお腹を抱えながらお店を後にしました。このお店、1人で行くにはちょっと覚悟がいりますが、複数名で行けばいろいろなお豆腐料理が食べられて楽しめると思います。
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